多肉植物の葉挿しを行うとき、多くのサイトでは「乾いた土に葉を並べて置く」「水は与えない」といったような紹介をされています。私もずっとその方法を守って葉挿しを行ってきました。
でも本当に乾いた状態の方が成功率が高いのか? 湿らせたら悪影響があるのか?という疑問もあり、「ならば葉挿しの時に水は必要なのかどうかを確かめてみよう」という事で実際にやってみましたのでご紹介します。
この試験をやろうと思った理由
冒頭にも書きましたが、これまで葉挿しを行う際は乾いた状態で発根を待っていました。葉挿しが容易にできる朧月や虹の玉、秋麗などでは特に問題も無くほぼ葉挿しは成功していました。
しかし品種によっては発根までに長期間を要し、発根前に葉が乾燥してシワシワになってしまう事があったため、発根が遅いと感じられるときは軽く霧吹きで水をかけたりしたこともありました。ただ、水をかければ発根が促されるかどうかは不明ですし、逆効果かなと思ったりもしていたので、何となく「乾ききってしまったらかわいそうかな!?」位の思いで水をかけていたのが実情です。
実は芽刺しを行う場合も、初めの頃は乾いた状態で土の上にカット苗を置いておく方法でやっていましたが、その後カット苗が上に曲がってしまうために用土に挿す方法に変え、さらには乾いた用土ではなく用土に水を与えることで成功率も上がったため、現在では芽刺しは「培養土に挿して水を与える」方法で行っています。
そんな経緯もあり、「葉挿しでも水があった方が発根が早いのでは?」と考えて今回実際に比較試験を行うことにしました。
葉挿しに水は必要か?の試験方法
実際の試験方法についてです。
試験に使った多肉植物
葉挿しに使用したのはグラプトペタルム属の秋麗です。今年の植え替え時に結構株数が増えていたことと、秋麗は葉挿しの成功率も高く発根までの時間も短いという理由からです。同じグラプトペタルム属の朧月やブロンズ姫も葉挿しの成功率が高いので、葉挿しにあっている種類なのかもしれませんね。
試験のやりかた
葉挿しを行う場合、生長点(ロゼッタ状の多肉植物では中心付近、上に伸びるタイプでは先端付近)に近い方が成功率が高いという話を聞きました。そのため、今回の試験では葉の大きさや位置を均一化するため、同じ株から葉を取得し極力同じ大きさ・同じ位置にある葉を比較するように選びました。
選んだ葉は赤玉土(小粒)の上に並べ、発根まで片方はそのままの状態で管理し、もう一方は霧吹きで赤玉土が常に湿っている状態にして管理しました。
試験の開始日は2020年3月21日です。
写真の右側が乾いた状態で管理する試験区で、左側が湿らせた状態で管理する試験区です、このような状態で室内の窓辺に置き、湿らせる区は赤玉土が乾かないように1~2日ごとに霧吹きで赤玉土がを湿らせました。
試験の結果
試験開始からおよそ2ヵ月経過したところで状態を確認しました。なお、植え付けや発根の状態を確認しやすくするため、数日間は加水を行わずに両方とも土を乾かした状態にしてあります。
用土を湿らせた方も乾いたままの状態にした方も、全ての大きさの葉で発根と芽の形成を見ることが出来ました。結果としては、土を湿らせた区と乾いたままの状態にした区では根の長さや芽の大きさなどに違いは見られませんでした。ただ、加水の有無にかかわらず葉が大きな方が形成される芽の大きさが大きくなる傾向がある事は分かりました。
今回の試験で使用した葉は、そのまま鉢に植え付けて大事に育てたいと思っています(^^♪
葉挿しテストまとめ
今回、葉挿しの時には乾いたままの方が良いのか?湿らせた方が良いのか?という疑問を確認するため、実際に土を湿らせた区と乾いたままの状態にした区での比較試験を行いました。
試験の結果、土を湿らせても乾いたままの状態にしても発根や芽の形成に差は見られなかった事がわかりました。葉挿しを行う場合「水は与えない」と記されていることが多いですが、言い換えると「水を与えても悪影響は及ぼさない」という事も出来ます。
葉が小さいとか、乾燥しやすい場所(時期)とかで、葉挿しにする葉が発根前に萎れてしまったりしそうな場合は時々霧吹きで水を与えても良いのかもしれませんね!
残る課題
ただ、少しだけ課題は残っています。それは「品種によっては乾いた状態(または湿った状態)の方が成績が良いのかも?」であったり、「季節によっては土を湿らせると雑菌が繁殖して悪影響を与えるかも?」といった疑問です。
今後、機会があったら別の品種でも試してみたいと思います。
植えつけた秋麗のその後
試験で使用し、鉢に植えつけた秋麗はその後もすくすくと成長しています。植え付けからおよそ1ヵ月経過経過した写真が下の写真ですが、だいぶ芽も大きくなってきました。たくさん増えたらまた何かテストしてみたいと思っています!
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